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挿花家。福岡県生まれ。19歳で上京、花修業を始める。自由で、魅惑に富んだ独自の世界が注目され、1970年にはエリザベス女王夫妻来日に際して英国大使館で開かれた晩餐・舞踏会の飾花を担当。2006年10月には京都国際交流会館にて主宰する「飾花の会」の花展覧会。11月には19年ぶりの舞台パフォーマンス「花 hana」を京都造形芸術大学春秋座にて公演。東京青山で花教室を主宰。 |


私の生まれた家は花の絶えない家でした。小さな庭に母がいつも何かしらの花を育てていて、家のあちらこちらに飾るんです。それだけではなく、折に触れ学校に行く私に花を持たせてくれて、教室に飾ると先生がとても喜んでくれるんですね。それがなんとなくうれしくて。私が花を仕事にするようになったのは、そんなところに根っこがあるのかも知れません。
花はつくる人、飾る人、見る人のみんなを幸せな気分にしてくれる。本当に素晴らしいものだと思います。もちろん今は仕事ですから、思うように生けられなくて花は怖いと思うこともありますが、それでもふと深呼吸するとすーっといい香りがして、一瞬で気分が和らぎます。ですから、皆さんにもぜひ花をもっともっと楽しんでいただきたいと思います。
とても忙しくて、花なんかかまってる暇がないって日がありますよね。あるいは、気分が落ち込んで何もしたくない日とか。そんな日こそ、無理をしても花を少し買って、グラスでも何でもいいですから生けてみてください。花のチカラが分かるはずです、きっと。
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では、どんな花がいいかですが、今は花の種類も本当に多彩になりました。外来種もいろいろあって、花が仕事の私でも名前を覚えきれないほどです。花屋さんで買うだけでなく、インターネットで注文して、産地から取り寄せることもできるのですから、何を生けようか迷ってしまいます。
そんな中で、春を迎えた今の時季ならユキヤナギ、ボケ、レンギョウ、ヒアシンスなどが季節感があっていいですね。数種類を一緒に生けたいときは、山のものと里のものを組み合わせるといいと昔からいわれます。山のものとは、ウメとかコブシ、サクラといった枝ものです。里のものの代表はツバキでしょうか。ボタンもそうです。つまり里に咲く花ですね。
生け方は、あまりムズカシク考えないで。西洋の花は左右シンメトリーに生けるのが普通ですが、日本の花でしたら左右のバランスを少しくずすといいですね。花たちが山や野にあるときの姿を想像しながら生けてみたら案外うまくいくものですよ。
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西洋の花と日本の花には、シンメトリーかどうか以外でもいろいろな違いがあります。例えて言えば、西洋の花は色を塗り重ねていく足し算の花、日本の花は茶花のように余分なものをそぎ落としていく引き算の花。
ですから、西洋の花の場合は油絵の下塗りのように見えない部分にも花をしっかり入れて、花を重ねていきます。そのように色を重ね、上にいちばん見せたい花を挿すわけです。色のハーモニーが大きな魅力ですね。
一方、日本の花は枝や花、葉の向きを計算して、そこに流れを出していきます。わずかの花がつくる世界をイメージで楽しむという感じでしょうか。
どちらにしても、美しく生けるにはまず感覚を磨くことです。上手な人の生けた花を見るのもいいですし、絵を見るのもいいでしょう。私は映画で感動することもありますよ。とくにルキノ・ヴィスコンティの映画なんて花の扱いがうまくてとても参考になります。
生け方にルールはありますが、はじめからそれにとらわれなくていいんです。もちろん、西洋の花と日本の花を組み合わせても大丈夫。いろいろな美しいものにふれて、あなた流の素敵な花をぜひ生けてみてください。
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