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挿花家 栗崎昇
挿花家 栗崎昇
挿花家 栗崎昇 挿花家 栗崎昇さん
profile
挿花家。福岡県生まれ。花が好きだった母の影響で、ものごころついたときからの花好き。19歳で上京、花修業を始める。自由で、魅惑に富んだ独自の世界が注目され、70年にはエリザベス女王夫妻来日に際して英国大使館で開かれた晩餐・舞踏会の飾花を担当。舞台美術のほか、大舞台での挿花パフォーマンスを行う一方、東京青山で花教室も主宰。

たった一輪で部屋の空気を変える、花には不思議なチカラがあります。
栗崎昇 ウメモドキ フレンチアジサイ アスナロ花の魅力は、まず季節感だと思います。梅で春の訪れを知り、桜で爛漫の春を感じる。四季を大切にする日本人ならではの感覚なのでしょう、それだけで豊かな気持ちになれますよね。
日本人ならではといえば、女郎花(おみなえし)、吾亦紅(われもこう)、椿の侘助(わびすけ)など、日本独特の情緒ある名前にも惹かれます。名前の向こうに物語を感じて、日本人の感覚ってすごいなあと改めて感心しますね。もちろん物静かな日本の花だけでなく、西洋生まれの、例えばダリアなど個性的な花も魅力的です。
どんな花でも、たった一輪あるだけで部屋の空気が変わってくる。花があるとないとでは大違いで、花が部屋の雰囲気をつくってくれるんです。「きれいでしょう」「きれいだね」と、家族との会話が始まって空気が和んだりもします。花はそんな不思議なチカラをもっているもの。だから上手に生けようなんて力まないで、まずは好きな花を一輪だけ飾ってみる、そんなところから始めてみてはどうでしょうか。

見ていると何かを語りかけてくる花。それがあなたの好きな花なのです。
栗崎昇 中庭 柴 栗 籠生ける花は、少しだけ季節を先取りした方がいいと思いますが、基本的にルールはありません。花屋で見かけた花にふと心惹かれて、というのでもかまわないのです。好きな花をいけるのがいちばんですから。
昔の人は「花は足で生ける」と言いました。好きな花を生けるのに足を使って探したわけですね。そこまでしなくても、花選びに迷ったら、店先の花たちをじっと見るといいですよ。見ていると何かを語りかけてきて、家に持って帰りたいと思う花があるはず。それがあなたの好きな花なんです。
器は、実は何でもいいと私は思っています。私自身もアジアの旅行で手に入れた壺だとかカゴだとかを使うこともよくあります。徳利や、化粧品のビンなどもいいものです。 ただ、花と器が似合うかどうかは考えて欲しいですね。洋服やアクセサリーを選ぶのと同じ感覚で、自分のセンスで楽しんで。

花はいずれ枯れます。大切なのは、枯れるまで花に心を寄せること。
挿花家 栗崎昇花を生けるとき、私は野にあるときの姿を想像します。どちらを向いて咲いていたか、ツルはどう伸びていたか……。なるべくその姿を生かすようにすると、無理なく生けられます。
生けたら生けっぱなしにせず、毎日、世話をしてあげてください。花はペットの犬と同じ生き物なんです。ペットをなでるように花に話しかけ、エサをあげるように毎日水を替えてあげると、花も長生きします。水を替えるだけで花がよろこんでいるのが分かりますよ。
花がしおれてきたら、水揚げし直します。切り口を焼く、叩く、塩でもむなどいろいろな方法がありますが、植物によってどの方法が向くかは違いますので、初心者は茎の根元を鉛筆を削る要領で削るのが簡単で効果的です。ナイフは良く切れるものを使ってください。花がうつむいてしまったら、茎を紙で巻いて曲がっている部分を伸ばして、水揚げしてあげると、また上を向いて咲いてくれます。こうして世話をすることが花を生かすこと、つまり生け花ってこれなんです。
ただ、どんなに世話をしても切り花はいずれ枯れます。それまでの間、花に心を寄せるという気持ちが大切だと私は思います。そんな気持ちがあなた自身を、そしてまわりの人や家庭を和やかで心豊かなものにしてくれるはずですから。

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